はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の会計や税金について解説します。
今回は、歯科医師先生が医療法人を設立するメリットとデメリットのうち、メリットについて説明したいと思います。
デメリットについてはこちら
医療法人のメリットとデメリット-2
医療法人を設立するメリットとデメリット
医療法人を設立するためには、時間とお金をかけて面倒な手続きをしなければなりません。
しかし、1985年に一人歯科医師医療法人が認められて以来、多くの歯科医師先生が医療法人を設立するようになりました。
これは、医療法人を設立することにメリットがあることを表しているともいえます。
しかし、医療法人の設立にはメリットだけでなくデメリットもあるので、医療法人をお考えの場合は、税理士などとよく相談してください。
医療法人のメリット
医療法人を設立するメリットには、経営基盤の安定や、顧客(患者さん)からのイメージアップなどがありますが、中心となるメリットは次にあげるような節税効果にあります。
所得税と法人税の税率の差による節税
個人開業医の場合は、歯科医院の儲けに対して所得税がかかります。この所得税は儲けが大きくなるほど税率が上がってしまう累進課税になっています。
対して、医療法人の場合は、歯科医院の儲けに対して法人税がかかります。この法人税は儲けの大きさにかかわらず、ほぼ一定の税率になります。
儲けが少ないうちは所得税の方が低い税率になりますが、ある程度の儲けがでてくると、税率が逆転して、法人税の方が低い税率になります。
このため、ある程度の儲けが出ている歯科医院の場合は、医療法人を設立した方が節税になるのです。
給与所得控除で節税
個人開業医の場合は、歯科医院の儲けが、そのまま歯科医師先生個人の儲けになります。そしてその儲け(事業所得)に対して所得税がかかってきます。
対して、医療法人を設立すると、院長先生は医療法人の理事長になります。
理事長は、医療法人からお給料(給与所得)をもらうカタチになります。
お給料(給与所得)には給与所得控除という、自動的に所得を減らせる制度があります。所得が減れば税金も減ります。
この給与所得控除制度がある分だけ、同じ金額の儲けであっても事業所得として得るよりも、お給料(給与所得)としてもらう方が節税になるのです。
儲けを分散して節税
個人開業医の場合は、歯科医院の儲けが、そのまま歯科医師先生個人の儲けとして、先生一人に税金がかかります。
対して、医療法人を設立して、先生が理事長で家族を理事に就任させれば、医療法人から理事長だけでなく家族の理事などにもお給料を支払うことができます。
所得税は儲けが多くなるほど高い税率になる累進課税なので、先生一人に歯科医院の儲けの全てを集中させるよりも、理事となった家族にも分散させることで、節税になるのです。
なお、個人開業医の場合も、専従者控除給与という家族に給料を支払って儲けを分散させて節税する制度がありますが、専従者よりも理事のほうが一般的に給料の額を高く設定できるので、医療法人の方がより節税効果が高いといえます。
生命保険料を経費にできる
個人開業医の場合は、生命保険に加入して保険料を払っても、歯科医院の必要経費にすることはできません。確定申告において、一定の金額の保険料だけ生命保険料控除として使えるのみなので節税効果は高くはありません。
対して、医療法人の場合は、医療法人が保険契約者になり理事長などを被保険者にすることで、契約内容にもよりますが、支払った保険料を医療法人の経費(損金)にすることができ、保障を確保するとともに節税にもなります。
退職金がもらえる
個人開業医の場合は、院長先生に対する退職金という制度はありません。
また、専従者としている家族に退職金を支払っても必要経費にすることはできません。
対して、医療法人の場合は、理事長や家族の理事に対して退職金を支払うことができます。支払った退職金は医療法人の経費(損金)になるので医療法人の節税になり、退職金を受け取った側の理事長や理事においても、退職所得として税金が優遇されます。
おわりに
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医療法人のメリットとデメリット-2
医療法人のメリットには税金がからむものが多いため、医療法人の設立をお考えの場合は税理士に相談することをオススメします。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。