カテゴリー: 社会保険診療報酬の所得計算の特例

社会保険診療報酬の値引きがある場合の措置法の概算経費の計算

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

東京の歯科医師先生と歯科医院を支援する公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

今回は、社会保険診療報酬の値引きがある場合の措置法の概算経費の計算について説明したいと思います。

 

 

措置法による概算経費

租税特別措置法には社会保険診療報酬の所得計算の特例として、概算経費を次のように計算できると定められています。

医業または歯科医業を営む個人および医療法人が、
1年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下、かつ、社会保険診療報酬と自由診療報酬の合計額が7,000千万円以下である場合、
社会保険診療報酬にかかる経費について、実際に発生した経費ではなく、下記の表に基いて計算した金額を経費とすることができます。

 

社会保険診療収入 概算経費率 加算額
2,500万円以下 72% なし
2,500万円超 3,000万円以下 70% 50万円
3,000万円超 4,000万円以下 62% 290万円
4,000万円超 5,000万円以下 57% 490万円
5,000万円超 適用できない

 

 

社会保険診療報酬の値引きがある場合

知人や従業員などの社会保険診療報酬の窓口負担分を値引きしたような場合、社会保険診療報酬は値引き前の金額で計上して、値引きについては交際費や福利厚生費などで処理する必要があります。

例えば、1年間の社会保険診療報酬が4,100万円(値引き前)、値引き金額が100万円で措置法の概算経費を適用する場合の所得は下記のように計算します。

正しい
4,100万円×57%+490万円=2,827円
4,100万円-2,827円=1,273万円

誤り
4,000万円×62%+290=2,770万円
4,000万円-2,770円=1,230万円

値引き前の金額で概算経費を計算することに注意して下さい。

 

また、社会保険診療報酬が5,000万円に近い金額である場合は、そもそも措置法の概算経費の特例を適用するための要件である社会保険診療報酬5,000万円を超えていないかどうか、社会保険診療報酬についても税務調査で細かく調べられるので、日頃から値引きについては正しく処理を行うように心がけましょう。

 

 

おわりに

税理士を探している東京都の歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

所得計算の特例(措置法26条)における青色申告特別控除の取り扱い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における青色申告特別控除の取り扱いについて説明したいと思います。

 

 

所得計算の特例と青色申告特別控除

個人開業の歯科医師先生が所得計算の特例を適用して、社会保険診療報酬にかかる所得を計算する場合は、この社会保険診療報酬にかかる所得からは青色申告特別控除を行うことはできません。

青色申告特別控除を受けることができる事業所得は、所得計算の特例を適用して計算した所得を除いた、残りの事業所得に限られます。

 

すなわち、所得計算の特例を適用した社会保険診療報酬以外の、自由診療などにかかる所得から青色申告特別控除を行います。

なお、青色申告特別控除をできる金額は、自由診療報酬などにかかる所得と65万円のどちらか小さい方の金額が上限になります。

そのため、社会保険診療報酬にかかる所得がいくら大きくても、それ以外の自由診療などにかかる所得がゼロ円であったら、青色申告特別控除を行える金額もゼロ円になるので注意して下さい。

 

この取扱については、租税特別措置法通達25の2-1において、次のように定められています。

措置法第25条の2第1項又は第3項の規定による青色申告特別控除額の計算等については、次の諸点に留意する。
(3)
措置法第26条第1項(社会保険診療報酬の所得計算の特例)の規定の適用を受ける社会保険診療報酬に係る所得がある場合には、同法第25条の2第1項第2号又は同条第3項第2号に規定する合計額を計算するときはこれを除外したところによるのであるが、同条第2項又は第4項の控除をするときには、当該所得を含めた事業所得の金額から控除すること。

 

 

おわりに

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患者自己負担分の診療報酬を免除した場合の所得計算の特例における取り扱い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、患者さんが自己負担するべき診療報酬の窓口収入を受け取らなかった場合の所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における取り扱いについて説明したいと思います。

 

 

患者自己負担分の免除

社会保険診療報酬のうち患者さんが自己負担する分については歯科医院の窓口で支払いを受けることになりますが、歯科医師先生の家族や友人知人、歯科医院のスタッフなどが患者さんの場合、この窓口収入について受け取らない場合があります。

このように患者自己負担分の窓口収入を免除した場合は、免除分を収入金額として計上して、同額を必要経費として計上するという両建ての処理をしなければなりません。

 

例えば、社会保険診療報酬が5,000円で、支払機関から後日3,500円、患者さんから窓口で1,500円の支払いを受ける場合で、患者さんからの1,500円を免除するとします。

この場合、収入として計上する金額は3,500円ではありません。
収入として5,000円を計上するとともに、必要経費として1,500円を計上することになります。

 

 

患者自己負担分の診療報酬免除と所得計算の特例

上記のとおり、患者自己負担分の窓口収入を免除した場合は、免除分を収入金額として計上して、同額を必要経費として計上するという両建ての処理をしなければなりません。

所得計算の特例を適用する場合は、免除分も社会診療報酬に含めて、上記の例でいうと3,500円ではなく5,000円を社会保険診療報酬として、そこに概算経費率を乗じて必要経費を概算することになります。

その結果、概算計上した必要経費には、免除分がすでに含まれていることになります。

したがって、所得計算の特例により概算計上した必要経費に、さらに免除分を含めることはできないので注意してください。上記の例で言うと、5,000円に概算経費率を乗じて必要経費を概算しますが、免除分の1,500円を概算された必要経費に加える事はできないことになります。

 

 

おわりに

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妊婦や乳幼児の歯科健康診査の所得計算の特例における取り扱い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、妊婦や乳幼児の保健指導や歯科健康診査の所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における取り扱いについて説明したいと思います。

 

 

所得計算の特例と母子保健法

租税特別措置法第26条2項において、所得計算の特例の対象になる社会保険診療報酬として、母子保健法に基づく診療報酬が掲げられています。

所得計算の特例の対象となる保険診療についてはこちら
所得計算の特例の社会保険診療報酬の範囲と総収入金額の範囲 | 概算経費-3

 

 

母子保健法

母子保健法において、歯科保健に関連があるものとして次のような定めがあります。

第10条には、妊婦、その配偶者、乳幼児の保護者に対する、歯科医師による妊娠や出産、育児に関する必要な保健指導が定められています。
第12条には、1歳6ヶ月と3歳の幼児に対して健康診査を行わなければならない旨が定められています。
第16条には、妊婦や乳幼児が歯科医師による保健指導・健康診査を受けた際の母子健康手帳への歯科医師の必要事項の記載について定められています。
第17条には、妊婦に対して歯科医師の診療を受けることの勧奨や、歯科医師の診療を受けるための援助について定められています。

 

 

母子保健法のうち所得計算の特例の対象になるもの

母子保健法に基づくものがすべて所得計算の特例の対象になるのではありません。

対象になるのは養育医療になります。

母子健康法に基づくものであっても、妊婦さんや乳幼児に対する保健指導、歯科健康診査にかかる報酬は所得計算の特例の対象にはなりません。
そのため、概算経費の計算において、妊婦さんや乳幼児の歯科健康診査にかかる報酬は、社会保険診療報酬ではなく自由診療収入に含めることになるので注意して下さい。

 

 

おわりに

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自由診療にかかるものだけを外注する歯科技工所がある歯科医院の注意点

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、自由診療にかかるものだけを外注している歯科技工所がある歯科医院における所得計算の特例(租税特別措置法第26条)の注意点について説明したいと思います。

 

 

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分については次の式で計算します。

( ①一般経費の総額 - ②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費 )
✕ 自由診療割合
+ ①のうち自由診療分として明確に区分することができる一般経費
= 自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分

「②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費」とは、例えば次のようなものをいいます。

  • 事業税(自由診療分)
  • 消費税(自由診療分)
  • 第三者に委託したレセプト請求費用(社会保険診療分)
  • 未収金を個別管理している場合の貸倒損失など

 

 

 

歯科技工所への外注費

自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分を計算するにあたって、自由診療にかかるものだけを外注する歯科技工所に支払う外注費をどう扱うかが問題になります。

自由診療のみにかかる外注費であるため、上式の「②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費」に当てはまるとお考えになるかもしれません。

しかし、自由診療にかかるものだけを外注する歯科技工所に支払う外注費については、「②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費」には含めないのが正しい計算になります。

 

なんとなくしっくりこないと思われる方も多いと思いますが、次のように考えると少しは納得できるかもしれません。

必要経費の中に明らかに自由診療分であるものが含まれている場合であっても、それを「②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費」として「①一般経費の総額」から差し引いてしまうと、算式における()の中の社会保険診療分の割合が相対的に大きくなってしまいます。そこに自由診療割合を乗じて、自由診療分として按分してしまうと、自由診療分の一般経費の金額が実際の姿とずれてしまうことになります。

 

 

おわりに

この論点は税理士でも間違うことが少なくないところでもあるので注意してくださいね。

税理士をお探しの歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。歯科医院特有の会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

措置法差額の計算 | 概算経費の計算手順-6

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順6として措置法差額の計算の計算について説明したいと思います。

 

 

概算経費の計算手順

所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して

  • 所得計算の特例によって概算で計上する保険診療分の必要経費の金額
  • 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額

その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。

措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)

1. 収入金額の内訳
2. 自由診療割合の計算
3. 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
4. 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
5. 保険診療分の概算で計上する必要経費の計算
6. 措置法差額の計算

 

 

措置法差額の計算

措置法差額は次の式で計算します。

保険診療分の概算で計上する必要経費の金額 - 保険診療分の実際に発生した必要経費の金額 = 措置法差額

 

保険診療分の概算で計上する必要経費の金額についてはこちら
保険診療分の概算で計上する必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-5

保険診療分の実際に発生した必要経費の金額についてはこちら
保険診療分の実際に発生した必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-4

 

 

措置法差額の記載

計算した措置法差額は、青色申告決算書における損益計算書の「所得金額㊺」の下の余白に、「措置法差額○○円」と記載します。

そして、青色申告決算書における損益計算書の「所得金額㊺」には、「措置法差額○○円」を差し引いた後の金額を記載します。

また、確定申告書Bの第二表の「特例適用条文等」には「措法26」と記載します。

 

 

おわりに

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保険診療分の概算で計上する必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-5

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順5として保険診療分の概算で計上する必要経費の計算について説明したいと思います。

 

 

概算経費の計算手順

所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して

  • 所得計算の特例によって概算で計上する保険診療分の必要経費の金額
  • 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額

その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。

 

措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)

  • 収入金額の内訳
  • 自由診療割合の計算
  • 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
  • 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
  • 保険診療分の概算で計上する必要経費の計算
  • 措置法差額の計算

 

 

保険診療分の概算で計上する必要経費の計算

社会保険診療報酬の金額に応じた概算経費率と加算額を次の算式に当てはめて、保険診療分の概算で計上する必要経費を計算します。

社会保険診療報酬の総額 ✕ 概算経費率 + 加算額 = 保険診療分の概算で計上する必要経費の金額

社会保険診療収入 概算経費率 加算額
2,500万円以下 72%
2,500万円超 3,000万円以下 70% 50万円
3,000万円超 4,000万円以下 62% 290万円
4,000万円超 5,000万円以下 57% 490万円
5,000万円超 適用できない

 

繰り返しになりますが、

社会保険診療に係る必要経費は、実際に発生した必要経費によらないで、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)により概算で計上した金額を必要経費とすることができます。

社会保険診療報酬が5,000万円を超える場合、または歯科医業にかかる総収入金額が7,000万円を超える場合は、この方法は選択できません。

この方法によって概算で計上した必要経費の金額と実際に発生した必要経費との差額(措置法差額)がある場合は、実際の所得金額から控除することとなります。

 

 

おわりに

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保険診療分の実際に発生した必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-4

はじめに

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歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順4として保険診療分の実際に発生した必要経費の計算について説明したいと思います。

 

 

概算経費の計算手順

所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して

  • 所得計算の特例によって概算で計上した保険診療分の必要経費の金額
  • 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額

その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。

 

措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)

  • 収入金額の内訳
  • 自由診療割合の計算
  • 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
  • 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
  • 保険診療分の概算で計上した必要経費の計算
  • 措置法差額の計算

 

 

保険診療分の実際に発生した必要経費の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算は、
社会保険診療報酬と自由診療収入の両方がある方が、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)の適用を受ける場合に、
措置法差額 ( 「特例を適用して概算した保険診療分の必要経費の金額」 と 「実際に発生した保険診療分の必要経費の差額」 ) を算出するために行います。

この計算は

  • 一般経費分
  • 青色申告者の特典経費分

に分けて行います。

 

 

一般経費分の計算

保険診療分の実際に発生した必要経費の計算のうち、一般経費分については次の式で計算します。

一般経費の総額 - 自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分
= 保険診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分

一般経費の総額は、
青色申告決算書における損益計算書の「売上原価の差引原価⑥+経費計㉜」の金額になります。

自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分は、
保険診療分の実際に発生した必要経費の計算で求めた金額を記載します。
詳しくはこちらを参照下さい。
自由診療分の実際に発生した必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-3

 

 

青色申告者の特典経費分の計算

保険診療分の実際に発生した必要経費の計算のうち、青色申告者の特典経費分については次の式で計算します。

 

 

専従者給与

専従者給与の金額 - 自由診療分の専従者給与の金額 = 保険診療分の専従者給与の金額

専従者給与の金額は、
青色申告決算書における損益計算書の「専従者給与㊳」の金額になります。

自由診療分の専従者給与の金額は、
保険診療分の実際に発生した必要経費の計算で求めた金額を記載します。
詳しくはこちらを参照下さい。
自由診療分の実際に発生した必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-3

 

 

一括評価による貸倒引当金繰入額

( 一括評価による繰入額 - 自由診療分の一括評価による貸倒引当金繰入額 )
- ( 一括評価による繰戻額 - 自由診療分の一括評価による繰戻額 )
= 保険診療分の一括評価による貸倒引当金繰入額

 

 

退職給与引当金の繰入額

退職給与引当金の繰入額 - 自由診療分の退職給与引当金の繰入額
= 保険診療分の退職給与引当金繰入額

 

 

おわりに

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自由診療分の実際に発生した必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-3

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順3として自由診療分の実際に発生した必要経費の計算について説明したいと思います。

 

 

概算経費の計算手順

所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して

  • 所得計算の特例によって概算で計算した保険診療分の必要経費の金額
  • 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額

その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。

措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)

  1. 収入金額の内訳
  2. 自由診療割合の計算
  3. 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
  4. 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
  5. 保険診療分の概算で計算した必要経費の計算
  6. 措置法差額の計算

 

 

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算は、
社会保険診療報酬と自由診療収入の両方がある方が、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)の適用を受ける場合に、
自由診療にかかる必要経費の金額を算出するために行います。

この計算は

  • 一般経費分
  • 青色申告者の特典経費分

に分けて行います。

 

 

一般経費分の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算のうち、一般経費分については次の式を用いて計算します。

 

( ①一般経費の総額 - ②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費 )
✕ ③自由診療割合
+ ②のうち自由診療分として明確に区分することができる一般経費
= 自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分

 

①一般経費の総額は、
青色申告決算書における損益計算書の 「 売上原価の差引原価⑥ + 経費計㉜ 」 の金額になります。

 

②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費とは、例えば次のようなものをいいます。

  • 事業税 ( 自由診療分 )
  • 第三者に委託したレセプト請求費用 ( 社会保険診療分 )
  • 未収金を個別管理している場合の貸倒損失など

 

③自由診療割合は、こちらを参照ください。
自由診療割合の計算 | 概算経費の計算手順-2

 

 

青色申告者の特典経費分の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算のうち、青色申告者の特典経費分については、各項目ごとに次の式を用いて計算します。

 

専従者給与

専従者給与の金額 ✕ 自由診療割合 = 自由診療分の専従者給与の金額

専従者給与の金額は、青色申告決算書における損益計算書の「専従者給与㊳」の金額になります。

 

一括評価による貸倒引当金繰入額

自由診療分の一括評価による貸金額の合計 ✕ ( 55 / 1,000 )
= 自由診療分の一括評価による貸倒引当金繰入額

 

退職給与引当金の繰入額

退職給与引当金の繰入額 ✕ 自由診療割合 = 自由診療分の退職給与引当金の繰入額

 

 

おわりに

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自由診療割合の計算 | 概算経費の計算手順-2

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順2として自由診療割合の計算について説明したいと思います。

 

 

概算経費の計算手順

所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して

  • 所得計算の特例によって概算で計算した保険診療分の必要経費の金額
  • 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額

その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。

措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)

  1. 収入金額の内訳
  2. 自由診療割合の計算
  3. 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
  4. 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
  5. 保険診療分の概算で計算した必要経費の計算
  6. 措置法差額の計算

 

 

自由診療割合とは

自由診療割合は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するにあたって、
自由診療収入にかかる所得 ( = 自由診療収入 - 自由診療収入にかかる必要経費 )
を計算する際に用いる割合になります。

自由診療割合とは、
自由診療収入と社会保険診療収入のどちらにかかる経費であるか明確に区分することができない共通する経費を、
自由診療収入にかかる経費と社会保険診療収入にかかる経費とに区分するために使用する割合です。

 

 

自由診療割合の計算

自由診療割合は次のどちらかの方法によって計算します。

歯科医師用の青色申告決算書付表(自由診療割合の計算)

 

 

診療実日数による自由診療割合

診療実日数による自由診療割合は、「 収入金額の内訳 」 で集計した自由診療実日数と総診療実日数を用いて、次の算式で計算します。

診療実日数による自由診療割合(%) = 自由診療実日数(日) / 総診療実日数(日)
( 自由診療割合(%)は、少数点以下第3位を四捨五入する )

 

収入による自由診療割合

収入による自由診療割合は、「 収入金額の内訳 」 で集計した自由診療収入と総診療収入を用いて、次の算式で計算します。

収入による自由診療割合(%) = 自由診療収入(円) / 総診療収入(円) ✕ 75%(歯科の調整率)
( 自由診療割合(%)は、少数点以下第3位を四捨五入する )

一般的に自由診療の方が社会保険診療よりも単価が高くなります。そのため、収入による自由診療割合を計算する場合は、「 自由診療収入(円) / 総診療収入(円) 」 に診療科目別に次の調整率を乗じて、自由診療割合を算出します。

歯科・産婦人科 75%
眼科・外科・整形外科 80%
上記以外 ( 美容整形を除く ) 85%

この調整率を乗じることによって、診療実日数による自由診療割合と収入による自由診療割合の差が縮まります。

 

 

おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。