はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。
今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順5として保険診療分の概算で計上する必要経費の計算について説明したいと思います。
概算経費の計算手順
所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して
- 所得計算の特例によって概算で計上する保険診療分の必要経費の金額
- 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額
その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。
措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)
- 収入金額の内訳
- 自由診療割合の計算
- 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
- 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
- 保険診療分の概算で計上する必要経費の計算
- 措置法差額の計算
保険診療分の概算で計上する必要経費の計算
社会保険診療報酬の金額に応じた概算経費率と加算額を次の算式に当てはめて、保険診療分の概算で計上する必要経費を計算します。
社会保険診療報酬の総額 ✕ 概算経費率 + 加算額 = 保険診療分の概算で計上する必要経費の金額
社会保険診療収入 | 概算経費率 | 加算額 | |
2,500万円以下 | 72% | ||
2,500万円超 | 3,000万円以下 | 70% | 50万円 |
3,000万円超 | 4,000万円以下 | 62% | 290万円 |
4,000万円超 | 5,000万円以下 | 57% | 490万円 |
5,000万円超 | 適用できない |
繰り返しになりますが、
社会保険診療に係る必要経費は、実際に発生した必要経費によらないで、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)により概算で計上した金額を必要経費とすることができます。
社会保険診療報酬が5,000万円を超える場合、または歯科医業にかかる総収入金額が7,000万円を超える場合は、この方法は選択できません。
この方法によって概算で計上した必要経費の金額と実際に発生した必要経費との差額(措置法差額)がある場合は、実際の所得金額から控除することとなります。
おわりに
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。