自由診療分の実際に発生した必要経費の計算 | 概算経費の計算手順-3

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)における概算経費の計算手順3として自由診療分の実際に発生した必要経費の計算について説明したいと思います。

 

 

概算経費の計算手順

所得計算の特例(租税特別措置法第26条)を適用するためには、次の金額の差額を計算して

  • 所得計算の特例によって概算で計算した保険診療分の必要経費の金額
  • 実際に発生した保険診療分の必要経費の金額

その差額を措置法差額として青色申告計算書(白色申告の場合は収支内訳書)に記載する必要があります。

措置法差額は、「青色申告決算書付表<医師及び歯科医師用>」を用いて次のような手順で計算します。(青色申告者の場合)

  1. 収入金額の内訳
  2. 自由診療割合の計算
  3. 自由診療分の実際に発生した必要経費の計算
  4. 保険診療分の実際に発生した必要経費の計算
  5. 保険診療分の概算で計算した必要経費の計算
  6. 措置法差額の計算

 

 

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算は、
社会保険診療報酬と自由診療収入の両方がある方が、所得計算の特例(租税特別措置法第26条)の適用を受ける場合に、
自由診療にかかる必要経費の金額を算出するために行います。

この計算は

  • 一般経費分
  • 青色申告者の特典経費分

に分けて行います。

 

 

一般経費分の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算のうち、一般経費分については次の式を用いて計算します。

 

( ①一般経費の総額 - ②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費 )
✕ ③自由診療割合
+ ②のうち自由診療分として明確に区分することができる一般経費
= 自由診療分の実際に発生した必要経費のうち一般経費分

 

①一般経費の総額は、
青色申告決算書における損益計算書の 「 売上原価の差引原価⑥ + 経費計㉜ 」 の金額になります。

 

②自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分することができる一般経費とは、例えば次のようなものをいいます。

  • 事業税 ( 自由診療分 )
  • 第三者に委託したレセプト請求費用 ( 社会保険診療分 )
  • 未収金を個別管理している場合の貸倒損失など

 

③自由診療割合は、こちらを参照ください。
自由診療割合の計算 | 概算経費の計算手順-2

 

 

青色申告者の特典経費分の計算

自由診療分の実際に発生した必要経費の計算のうち、青色申告者の特典経費分については、各項目ごとに次の式を用いて計算します。

 

専従者給与

専従者給与の金額 ✕ 自由診療割合 = 自由診療分の専従者給与の金額

専従者給与の金額は、青色申告決算書における損益計算書の「専従者給与㊳」の金額になります。

 

一括評価による貸倒引当金繰入額

自由診療分の一括評価による貸金額の合計 ✕ ( 55 / 1,000 )
= 自由診療分の一括評価による貸倒引当金繰入額

 

退職給与引当金の繰入額

退職給与引当金の繰入額 ✕ 自由診療割合 = 自由診療分の退職給与引当金の繰入額

 

 

おわりに

税理士をお探しの歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。歯科医院特有の会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。