所得計算の特例(租税特別措置法26条)の基礎 | 概算経費-1

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の税金や節税について解説します。

今回は、個人開業の歯科医師先生が使える節税効果の大きい社会保険診療報酬の所得計算の特例(租税特別措置法26条)の基礎について説明したいと思います。

 

 

社会保険診療報酬の所得計算の特例

歯科医師先生の事業所得の金額は、次のように計算するのが原則です

総収入金額 - 必要経費 = 事業所得の金額

 

しかし、一定の要件を満たす歯科医師先生の場合は、社会保険診療報酬に対応する必要経費について、実際に発生した経費金額ではなく、社会保険診療報酬に所定の概算経費率を乗じて計算した概算の経費金額にすることができます。

この特例は租税特別措置法26条において「社会保険診療報酬の所得計算の特例」として定められています。

歯科医師の必要経費 社会保険診療収入 自由診療収入等
原則 実際に発生した金額 実際に発生した金額
措置法26条の特例 概算による金額 実際に発生した金額

 

 

社会保険診療報酬の所得計算の特例の要件

租税特別措置法26条の「社会保険診療報酬の所得計算の特例」の適用を受けるためには、次の2つの要件をともに満たす必要があります。

  • 1年間の社会保険診療収入が 5,000万円以下 である
  • 自由診療収入なども含めた1年間の総収入金額が 7,000万円以下 である

歯科医師先生によっては自由診療収入が多額になる場合が少なくないため、上記2つ目の要件を満たすかどうか注意してください。

 

 

概算経費率

「社会保険診療報酬の所得計算の特例」を適用した場合は、社会保険診療収入にかかる必要経費について、実際に発生した金額の代わりに、次の算式によって計算した概算経費金額を用います。

社会保険診療収入 ✕ 概算経費率 + 加算額 = 概算経費金額

 

概算経費率と控除額は社会保険診療収入の大きさに応じて下表の数値を使います。

社会保険診療収入 概算経費率 加算額
2,500万円以下 72% なし
2,500万円超 3,000万円以下 70% 50万円
3,000万円超 4,000万円以下 62% 290万円
4,000万円超 5,000万円以下 57% 490万円
5,000万円超 適用できない

 

例えば、社会保険診療収入が3,500万円の場合の概算経費は次のように計算します。

概算経費金額 = 3,500万円 ✕ 62% + 290万円 = 2,460万円

社会保険診療収入にかかる必要経費が2,460万円未満であったとしても、2,460万円を必要経費として計上することができるのです。

 

 

おわりに

税理士をお探しの歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。歯科医院特有の会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。