はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の経理や税務について解説します。
今回は、開業費の償却で効果的に節税する方法について説明したいと思います。
開業費についてはこちら
歯科医院の開業前にかかった経費は開業費になります
開業費の償却
開業費の償却費の計算については、次のどちらか好きなやり方を選ぶことができます。
- 60か月の均等償却
- 任意償却
60か月の均等償却
開業費の償却を、60か月の均等償却で行う場合は、例えば次のように計算した金額を毎年の必要経費にします。
8月に歯科医院を開業したが、開業前に発生した費用である開業費が1,200万円ある。
- 開業1年目 : 100万円 ( 1,200万円 ÷ 60ヶ月 × 5ヶ月 )
- 開業2年目 : 240万円 ( 1,200万円 ÷ 60ヶ月 × 12ヶ月 )
- 開業3年目 : 240万円 ( 1,200万円 ÷ 60ヶ月 × 12ヶ月 )
- 開業4年目 : 240万円 ( 1,200万円 ÷ 60ヶ月 × 12ヶ月 )
- 開業5年目 : 240万円 ( 1,200万円 ÷ 60ヶ月 × 12ヶ月 )
- 開業6年目 : 140万円 ( 1,200万円 ÷ 60ヶ月 × 7ヶ月 )
このように、1,200万円の開業費を60ヶ月かけて必要経費にしていきます。
任意償却
開業費の償却を任意償却で行う場合は、開業費の金額の範囲内の金額が償却費として認められます。
償却費の下限は決まっていないため、例えば、開業した年については、全額を償却してもいいですし、全く償却しなくても構いません。
開業費となる費用を支出して、開業後60ヶ月が過ぎた場合には開業費の償却費を必要経費にすることはできない、という定めはありません。
償却していない開業費の残高はいつでも償却費として必要経費にすることができるのです。
そのため、開業費の償却については、60か月の均等償却ではなく、この均等償却を選んだ方が、必要経費にする時期を調整できるため効果的に節税することができるのです。
いつ開業費を償却すればいいのか
効果的に節税するためには、開業費を任意償却によって、いつ必要経費にすればよいのでしょうか。
それは、所得税の税率が高い年、すなわち儲かっている年に開業費を償却するのが効果的です。
例えば、
所得税の税率が5%の年に、開業費を1,000万円償却して必要経費にした場合は、
50万円 ( 1,000万円 × 5% ) しか節税になりません。
所得税の税率が45%の年に、開業費を1,000万円償却して必要経費にした場合は、
450万円 ( 1,000万円 × 45% ) も節税になります。
平成27年分以降の所得税の税率
平成27年分以降の所得税の税率 | ||
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
ちなみに地方税である住民税の税率は一律10%になります。
おわりに
歯科医院は、開業費が多額になることも少なくありません。そのため、開業費を償却する時期については、顧問税理士とよく相談して下さいね。
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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。